福岡スピリッツレポート 2006年2月

「新遊民の集い」ではすっかりお馴染みの神田教授。二〇〇七年は、日本にとっても世界にとっても多様な意味で一大転換期となる…。それを直前にした今、私たちがなすべきことは果たして何なのか。 歩く百科事典といわれる神田教授が、「何をしたか」ではなく「何をしなかったか」と逆転の発想で鋭く問いかける。

2007年へ向けて 『何が足りないのか…』

 二〇〇七年は団塊世代の大量定年を迎えるなど大転換期。それに向かい、何が足りないのか、何をなすべきか改めて考える必要がある。
 私が米国留学時に強く感じたのは「何かをした罪」と共に「しなかった罪」が問われることだった。力や能力、責任のある人が人類や国、組織のために働くのは重要で、今の日本にはそれが少ない。九年前からコンプライアンス=企業倫理を研究しているが、今の日本は自分の利で動く人が多すぎる。
 
 フィンランドで世界で初めて原発の高レベル廃棄物最終処分場建設を決めた町を訪問したとき、町長ら全員が「基幹産業で国に貢献できてうれしい」と語った。私は反対運動や補助金、交付金について聞いたが、同国には同様の制度はなく、しかも議員は無給だった。「給料をもらうと自分の利を考えるようになる」と。スウェーデンも同様で、国会議員は本業を持ち、国会は夕方から開かれていた。
 アイスランドは人口二十九万人だが、石油危機を機にエネルギー自給に取り組み始め、今では地熱や水力発電で得た電力、温泉水を多彩に活用している。燃料電池にも意欲的で、常に「自分たちに何ができるか」を熟考している。
 大転換期の二〇〇七年を前に、やった事を数えるのではなく、やらなかったことを考え、自分の力で何か可能ならやってみることだ。どんな物事も支えてくれる人がいるから実現する。その人たちに感謝しつつ、二〇〇七年に向けて何かしていなかった事はないか、足りないものはないか、出来るのにしていないものはないか、振り返る良いチャンスだ。
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